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2016年07月28日

さっきみたいな邪魔が入ると

「やつらはわれわれめがけて岩を落とそうとしているのさ」老人は気難しげにベルトを引き上げた。「よし、皆先に行ってくれ。できるだけ早く走るんだぞ」
「でも、おとうさんは大丈夫なの」ポルおばさんが気づかわしげSCOTT 咖啡機開箱に言った。「わかってるとは思うけれどまだ本当の体じゃないんですからね」
「おまえのいうとおりかどうかはこれからわかるさ」老人はぴしゃりと言い返した。「さあ、今すぐ全員ここから出るんだ」かれの口調にはいかなる議論をも拒絶する、断固とした響きがあった。


 一行はただちに切り立った岩をわれがちに駆けおり始めたが、ガリオンだけは一人しんがりを守り、ますます他の者たちから遅れていった。ダーニクにつきそわれた最後の荷馬ががれ[#「がれ」に傍点]場を渡りきり、角を曲がって見えなくなるのと同時にガリオンは立ち優思明止まり、じっと耳をすました。下からはひづめが岩にあたり、あるいは滑る音が聞こえ、上からは岩が峡谷にぶつかり、はね返りながら転がり落ちてくる音がした。その音は刻一刻と近づいてくるようだった。かれのうちにおなじみのうねりと轟音が感じられた。人の頭よりも大きな岩が風を切りながらさっと空中高くはね上がり、安全な方向にそれて崖の足元の岩くずの山めがけて落ちていった。ガリオンは時おり立ち止まっては耳をすましながら、慎重に狭い谷道を登り返していった。
 角を曲がったとたんガリオンの目に、はるか上方で苦しそうに汗を浮かべる祖父の姿がうつった。かれはとっさに老人の視界から身を隠した。だしぬけに先ほどのよりはひとまわり大きな岩が、狭い谷あいの道を大音響とともにもんどり打って落ちてきた。岩は壁にはね返り、川床にあたるたびに空中高く飛び上がった。岩はベルガラスの頭上二十フィートのところでしたたかに何かかたいものにぶつかって宙に舞い上がった。老人が苦しげなうなり声をあげ、いらだたしげな身振りを示すのと同時に、岩は長い弧を描いてすうっと宙を舞い、峡谷を落ちていったかと思うと見えなくなった。
 ガリオンは急いで川床を横切り、岩陰に身を隠しなが優思明ら、祖父の目から見えないことを確かめるかのように時おり振り返ってはさらに数ヤード下った。
 次の岩がもんどり打って落ちてくるのを見たガリオンは〈意志〉を集中させた。タイミングを完壁にあわせなければならないので、かれはじっと物陰から老人の姿を注視していた。そしてベルガラスが片手を上げるのと同時にガリオンは祖父の〈意志〉に自分の〈意志〉を重ねた。それとはわからぬかたちで祖父を助けたかったのだ。
 ベルガラスは岩が回転しながらふもとの平原に落ちていくのを見届けると、くるりと振り向き、厳しい顔で谷あいの道を見下ろした。「さあ、ガリオン」かれの声は冷たかった。「わしの見えるところまで出てこい」
 ガリオンはすごすごと川床の真ん中に出てくると、立ち止まって祖父を見あげた。
「何だっておまえはいつでも言われたことができないんだ」老人の追及はきびしかった。
「ただ手伝おうと思っただけだよ」
「わしがいつおまえに手伝ってほしいと言った? おまえはわしを病人あつかいするのか」
「また別の岩が落ちてくるよ」
「論点をすりかえるんじゃない。だいたいおまえは最近調子に乗りすぎているぞ」
「おじいさん!」ガリオンはあらたな巨岩がもんどり打って谷道を落ちてきて、老人の背中を直撃しようとしているのを見て思わず叫んだ。かれはその岩に〈意志〉を集中させると峡谷の外へ放り投げた。
「どうしようもない愚か者め」老人は不機嫌な声を出した。「何もはるばるプロルグまで投げる必要なぞないわ。いいかげんに自分の能力を見せびらかすのは止めにしたらどうだ」
「つい夢中になってしまったんだ」ガリオンはあやまった。「少し力が入りすぎた」
 老人はうなり声をあげた。「まあ、いい」かれはやや不機嫌そうにつけ加えた。「どうせおまえはここにいるんだしな。ただし自分に飛んでくる岩だけに集中しろ。こちらはひとりで十分だし、かえってバランスを崩してしまうんだ」
「練習しだいでうまくなるさ」
「ついでにおまえはエチケットというものも教えてもらうべきだな」ベルガラスはガリオンの立っている場所までおりてきながら言った。「助けがほしいと言われるまでは手を出すんじゃない。それはたいそう不作法なやり方だぞ、ガリオン」
「また岩が落ちてくるよ」ガリオンはいんぎんな口調で言った。「おじいさんがやるかい? それともぼくが」  

Posted by きはらったようす at 18:22Comments(0)